ラボラトリー方式(メソッド)による体験学習について③

【ラボラトリー・トレーニングの根本的仮説】

ラボラトリー・トレーニングの根本的仮説をシャインとベニス(1965)は、3つあげています。この視点は、当初の想いを知るためには大変重要であり、ラボラトリー方式の体験学習を再考する上で役立つと思っています。

a.行動諸科学に基礎をおく

ラボラトリー・トレーニングは、行動諸科学(behavioral sciences)にその根源を持っています。この仮説のもっとも優れた例は、レヴィン(K. Lewin)よって展開され、その考え方はきわめて単純なものであり、行動に(アクション)の基礎を、慎重に収集され分析されたデータにおくことです。

この過程の中心的な考え方は、アクション・リサーチとよばれています。アクションは、利用できる限り多くの信頼度の高い、科学的に妥当とされるデータに基づくべきであり、ひとたびアクションがとられたら、そのアクションの結果については、たえずチェックがなされ(フィードバック)、これらのデータは、次のアクションがとられる前に評価します。このようなことは、ラボラトリー・トレーニングについても同じで、可能な限りいつでも、アクションの決定のために妥当なデータが用いられ、そしてアクションそれ自体が、更に評価のためのデータを創り出しているのです。

b.介入に基礎をおく

データや科学的な結果は必要条件ですが、それだけでは十分なものではありません。理解し、解釈し、説明しても、それはアクションや介入(intervention)には及びません。介入は、アクションを引き起こすための必要な条件だけではなく、多くの場合それは、必要な妥当なデータを生み出すために重要なものとなることができると考えられています。

c.社会的役割に影響を与える

他の社会組織、とくに参加者が来ている組織に、適切であるかどうかという関心があるという点で、他の教育方法と区別されます。その関心は、参加者の社会的役割に影響を与えようとする試みの中に示されています。

☆参考文献

・E.H. Schein and W.G. Bennis  1965  John Wiley and Songs Inc. “Personal and Organizational Change Through Group Method” 1965  ラボラトリー・トレーニングの概観 E.H.シャイン W.G.ベニス 著 伊藤 博 訳編 1969 Tグループの実際-人間と組織の変革- 岩崎学術出版