ア行
アナフィラキシー
急性のアレルギー反応の一つである。外部から取り込んだ食物・薬や蜂の毒などのアレルゲンが体内に入ることで生じる。蕁麻疹や皮膚症状などの全身的な症状が短時間のうちに起こることが特徴とされる。呼吸困難、意識障害、特に血液循環の異常により急激にショック症状を引き起こすような命を脅かす危険な状況に陥ることもある。そのため、症状の速やかな発見と一刻も早い治療が必要とされる。過去に重篤なアナフィラキシー症状になったことがある人の中には、医師からアドレナリンの自己注射器を処方されている人もいる。
おとなのADHD
ADHD(注意欠陥/多動性障害)は、もともと子どもの発達障害として定義されたもので、大きく3つの「多動性」「衝動性」「不注意」に分かれています。
その特性の一部は大人になっても残ります。最近では、多くの大人がADHDの特性に悩み、仕事上や生活上の困難を抱えていることが分かっています。
タイプは「不注意優勢型」「多動・衝動優位型」「混合型」の3つに分けられています。
【不注意優勢型】
「うっかり」が多い、間違いが多いタイプです。
忘れ物をする、約束を忘れることは、誰にでも起こりうることです。
しかし、ADHDの方の場合は、うっかりの度合いが大きかったり、頻度が高かったりします。
大切なデートや会議にも頻繁に遅刻することがあります。
整理整頓が苦手で、いつも書類やデータファイルを探している人もいます。
【多動・衝動優位型】
ひとつの物事にじっくり取り組んだり、ひとつの場所にじっと留まることを好みません。
アイデアマンで行動的です。まわりの迷惑も考えず突っ走ります。
気持ちのコントロールが効きにくい場合があり、カッとなって言い返してしまったり、後先考えずに思ったことを伝えてしまうことがあります。
計画を立てて行動するよりも、思いついたら直ぐに行動するという場合が多く、周りは振り回されることがあります。
【混合型】
「不注意」と「多動 / 衝動性」の両方の特徴を持つ場合です。
カ行
解釈
体験をした後で、気づいたこと、相手が言ったことの意味を考えることを指している。しかし、私たちが物事を見て認識する行為すべてが、なんらかの解釈に基づいているという考え方がある
サ行
サーカディアンリズム
私たち人間の、朝起きて、日中活動し、夜眠るという、24時間の生活サイクルは、概日リズムによるもので、この概日リズムのことを、サーカディアンリズムと呼んでいます。このリズムは、主に脳内の視交叉上核という場所を中心に刻まれており、「体内時計が刻まれている場所」と言われます。この体内時計は、人間のみならず、地球上のほぼすべての生物に存在しています。
他方、24時間は地球の一日であり、人間の本来のリズムは24~25時間と言われています。そこで、地球リズムに体内時計をあわせる必要性が生じます。この時計合わせの役割は、朝、目から入る太陽の光なのです。朝の光を感知することによって、一日がリセットされるのです。
サルコペニア
筋肉量の低下に加え、身体機能の低下も意味する。加齢により、運動量の低下に伴う食欲の低下、そして栄養不足となり、筋肉量・筋力の減少と悪循環に陥ることが多く、フレイルへとつながる可能性が高い。握力・身体機能、筋肉量の測定にて診断される。
また、筋肉の衰えは基礎代謝量の減少の原因であり、脂肪が蓄積しやすい体になることから、サルコペニアと肥満の両方を併せ持つ状態になることもある。これは、生活習慣病に罹患しやすく、運動機能の低下から寝たきりになることも指摘されている。メタボリックシンドロームの改善やダイエットのためにと食事療法のみ行い運動量が不足すると起こることがあり、高齢者のみならず女性にも増加中である。
早期発見が最も重要であり、バランスの良い食事に併せ、歩く習慣と下半身の筋肉を中心とした筋力トレーニングを行うなどで、健康な状態に戻ることが可能である。
自己効力感
Banduraによる社会的学習理論によれば、人間の行動を決定する要因には、先行要因、結果要因、認知要因の3つがあり、これらが絡み合って、人と行動、環境という3者の間の相互作用が形成されています。行動の先行要因としての予期は、大きく二つの種類に分けられ、一つは環境の出来事についての予期(結果予期)で、もうひとつは自己の行動についての予期であり、自分の行動に関する可能性の認知です。この知覚された効力予期が自己効力感です。それは、自然発生的に生じてくるのではなく、4つの情報源を基礎としています。それらは、遂行行動の達成(自分で実際に行い、成功体験をもつこと)、代理的体験(うまくやっている他人の行動を観察すること)、言語的説得(自己強化や他者からの説得的な暗示を受けること)、情動的喚起(生理的な反応の変化を体験してみること)で、これらの情報を通して、個人が作り出していくものであると考えられています。また、自己効力は、3つの次元で理解することができます。第1に、自己効力感には大きさ(magnitude)、あるいは水準(level)の次元で、必要とされる様々な行動を、簡単なものから困難なものまで難易度順に並べたとき、難しい行動をどのくらいまで行うことができるかという見通しです。第2に強さ(strength)の次元で、それぞれのマグニチュードをもった行動、あるいは各水準にある行動に対して、それがどれくらい確実に遂行できるかという確信の強さです。
タ行
TPリーダーシップ
リーダーシップには2つの働きがあることが一般的に言われており、その2つの機能をT機能:集団の課題遂行を指向する働き(Task)とP機能:集団のメンバー(人間関係)に配慮することを指向する働き(People)と呼んでいる。PMリーダーシップ理論のP機能がT機能、M機能がP機能にあたると考えるとよいだろう。
ナ行
日内変動
誰にでもある、一日の中で心や身体の調子が良かったり悪かったりと動くことをいい、朝型・夜型などと呼んだりすることもあります。一方、うつ病に罹患している人には、身体・精神のうつ症状が朝方に強く現れ、夕方に近づくにつれて楽になっていくという傾向があります。
認知行動療法
認知行動療法は、行動療法や認知療法が拡がりを持つことで、認知行動療法といわれるようになった歴史的経緯があり、何に焦点を当てるかでアプローチは様々です。
たとえば、「現実の受け取り方」や「ものの見方」を認知といいますが、認知に働きかけて、こころのストレスを軽くしていく治療法は「認知行動療法」のひとつです。認知の中には、何かの出来事があったときに瞬間的にうかぶ考えやイメージがあり、特にストレスが強くかかっている時には、自分の意思とは別に否定的な思考が際限なく回ることがあります。これを「自動思考」といいます。
「自動思考」が生まれるとそれによって、いろいろ否定的な気持ちが動いたり行動が起こります。
ストレスに対して柔軟に対応できる力を育てるためには「自動思考」に気づいて、それに働きかけることが効果的です。
つらくなったときに頭に浮かんだ考えやイメージに注目して、今までとは違う視点を付け加えることで、結果としてバランスの良い柔軟な考え方になることを目指します。
認知療法・認知行動療法では、つらくなったときに少し立ち止まり、そのときに頭に浮かんでいる自動思考を現実にそった柔軟なバランスのよい新しい選択肢を付け加えていくことで、その時々に感じるストレスを和らげる方法を学ぶことができます。
そして楽な気持ちでもっと自分らしく生きられる可能性がでてきます。
「あなた」が悪いのではありません。
ここで問題にしているのは「あなた」ではなく、過去から影響を受けているあなたの考え(思考)です。
「人」は変えられませんが、「考え」は少しずつ選択肢を増やしていくことで、結果として変わった、ことにつながります。
あなたのストレスを軽くするために、あなたの考えを柔軟なバランスの良いものにします。
あなたが自分らしく生きていくためには、自由な考えを身につけることと、ストレスを軽くすることに両方が必要なのです。
ノンレム睡眠
Non-rapid eye movement sleepのことを呼びます。この間、脳は休息していて、成長ホルモンが分泌し体内組織が修復されたり、免疫機能が向上したりします。人の睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠を90分から120分周期で繰り返しますが、寝入りばなの最初のノンレム睡眠がゴールデンタイムであるとされています。就寝前にアルコールを摂取することや、心配や不安の種を抱えている時はノンレム睡眠が現れにくく、日常の生活リズムに影響を受けやすくなると言われています。
ハ行
パーソンセンタードアプローチ
パーソン・センタード・アプローチ(Person-Centered Approach)とは、カウンセラーが行うことは、クライエントに内在する資源(力)が出現するような促進的な態度をもつということで、カウンセラーが権威者として治療場面を仕切っている図柄とはまったく逆の、その人を中心に置いたアプローチです。米国の臨床心理学者カール・ロジャーズ(Rogers,C.R.)が創始したクライエント中心療法が原形です。
ロジャーズ(Rogers,C.R.)は、精神分析や指示的カウンセリング全盛の時代に、まったく新しい考え方の心理療法・カウンセリングを始めました。
「クライエントこそが問題解決の主人公である」という考え方のカウンセリング理論を世に出しました(Rogers,1951)。
ロジャーズの考えの中心には「個人の内部に自己理解や自己概念、基本的な態度、自発的な行動変化をさせていくための大きな資源が内在している」という考え方です。この内在している資源(力)は、カウンセラーの「心理学的に定義可能な促進的態度」に出会うことで起きると考えられています。
この促進的態度は、
- セラピストはクライエントとの関係の中で自己一致しており統合していること、
- クライエントに対する無条件の肯定的配慮を経験していること、
- クライエントの内的準拠枠について共感的理解を経験しており、その経験をクライエントに伝えようと努力していることです。
そして、セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮が、クライエントに伝わるということが、ごくわずかでも達成されていることも挙げられています。
フレイル
「虚弱」を意味する英語の「frailty」から名付けられた用語。加齢に伴って、健康に関する脆弱性が増加した状態のことをいう。身体的な脆弱性のみならず、心理的・社会的な側面の低下をも含む。日常生活で何らかの支援を必要とする「要介護」状態への移行期とも言われる。加齢に伴って、環境の変化や刺激への抵抗力やダメージからの回復力も低下してくるが、換言すれば、適切な支援によって、元の健康状態に戻れる可能性がある状態とも言える。
ホメオスタシス
私たちの心と身体は常に変化と安定の中にいますが、一定の範囲が保たれ、健康が維持されている状態を保つしくみが備わっています。これをホメオスタシスと呼び、日本語で「生体恒常性」といいます。
日常生活の中では、季節の変化や環境の変化といった外的な変化もあれば、社会生活の中で生じる喜怒哀楽といった感情の変化といった内的な変化をも伴います。これら変化に対して、私たちには、安定した状態を保ち、健康を維持していようとする無意識のしくみが働いているのです。そして重要なことは、ホメオスタシスは、「自律神経」と「内分泌」と「免疫」が相互に影響しあい、バランスを維持することで、すぐれた働きをしているということです。
マ行
M.A.I.カウンセリング
「M」(Maintenance):点検する、「A」(Adjustment):調整する、「I」(Improvement):向上させる、を応援しています。
ヤ行
四つの懸念
ギブ(Jack R. Gibb)が提唱した理論。彼は、Tグループの体験を重ねていき、グループの成長と個人の成長の発達過程とその関連について考察している。グループは、初期の頃、4つの代表される懸念-受容懸念、データ流動の懸念、目標形成の懸念、社会的統制の懸念-があり、いわゆる不信頼な不安な関係である。日常は、そのような不信頼な風土故、一人ひとりが自由に行動できなかったりするが、Tグループのような集中的グループ体験を通して、その不安(懸念)を低減することができれば、それだけグループには信頼の風土が生まれ、その中で個人は本来の欲求に基づき行動し、新しい行動を試みることができ、成長することができると考えている。
ラ行
レジリアンス(回復力)
レジリアンスを簡単に日本語に言い換えれば、回復力といいます。
レジリアンスとは何かについて、欧米では、児童虐待や両親の離婚など、様々な心理的、身体的ストレスにさらされている子供たちについ研究されています。同じような境遇に置かれても、強いストレスにうまく対応できる子供と、ストレスに打ち負かされて様々な心の問題を生じる子供がおり、その違いからストレスに対するレジリアンスはかなり個体差があることが明らかにされています。たとえば、サウスウィックらは、ベトナム戦争中に撃墜されて、6~8年間も捕虜として、拷問や独房への収容など極度のストレスを受けながらも、うつ病やPTSDを発症しなかった750人の男性パイロットについて研究報告がされています。これには神経心理学的な検査や、脳画像検査、DNAの検査などが含まれています。この研究から、これらの強いストレスに耐え抜いた人の心理的特徴、すなわちレジリアンスとして、10の項目が明らかになりました。
- 楽観主義
- 利他主義
- 確固とした道徳的な基盤を有している
- 信仰心や霊的なものを信じている
- ユーモアがあること
- 自分の役割モデルを持っていること
- 他人との社会的サポートを有していること
- 恐怖を直視できること
- 使命感を有していること
- 何らかのトレーニングを受けていること、です
こうしたレジリアンスという概念は、遺伝子や細胞レベルから、心理社学的なレベルにまたがる幅広いものです。
レム睡眠
rapid eye moment sleepのことを呼びます。REMは、球速眼球運動のことで、脳内では、思考の整理や記憶の定着を行っており、この間、夢を見たりするなど、脳は活動した状態にあると言われています。人の睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠を90分から120分周期で繰り返しますが、レム睡眠が少なくても、早朝覚醒や熟眠感の低下といった睡眠障害の低下として現れることがあります。
ワ行
わかちあい
英語のshareの邦訳である。体験学習では、体験後の学習者一人ひとりが気づいた事柄を話し合う作業を指しており、そのことを『わかちあい』と呼んでいる。しかし、巷の自己啓発セミナーでは、大勢の前で自分の感情を吐露することを『わかちあい』と呼んだり、研修に参加して良かったと言う体験を『わかちあう』ということで勧誘をすることを指している場合もあるので、この言葉の使用には要注意である。