ラボラトリー方式(メソッド)による体験学習について①
主体的な学びを促す学習方法について、少しずつ概説したいと思っています。
ラボラトリー方式による体験学習(experiential learning using the laboratory method)は、学習者の体験をベースにした学習であり、学習効果を最大に発揮できると思われる領域は何らかの形で人間の行動がからんでいる領域でると言えます。
それは個人の態度や行動、対人関係、グループや組織の問題、コミュニケーション、リーダーシップ、集団意思決定、自己概念、自己成長、価値観の明確化など、広い範囲におよぶと言われています(星野,1992)。また、学習者のニーズを尊重しながら、実験的・試行的に学習を行いながら集団や個人の行動変容を目指すものであります(津村,2003)。
柳原(1985)によると、「ラボラトリー方式による体験学習とは、ここ(ラボラトリーとしての研修)に設定された学習目標(ねらい)の本質と方法とを、同時的、主体的、体験的に追求する教育(教え⇔学ぶ相互作用)である」と定義しています。
また、ラボラトリー・トレーニングとは、「特別に設計された人と人とが関わる場において、参加者自身の行動や関係性を素材にしながら、そこでの体験を通して人間関係を学ぶ方法」であると、中村(2006)は、Bradfordらにより1964年に出版された書籍「T-Group Theory & Laboratory Method 」の序文を参考に定義しています。
☆参考文献
・星野 欣生 1992 「体験から学ぶということ~体験学習の循環過程~」 人間関係トレーニング~私を育てる教育への人間学的アプローチ
・津村 俊充 2003 体験学習とファシリテーション ファシリテーション・トレーニングナカニシヤ出版
・柳原 光 1985 “人間関係訓練による”体験学習~トレーニングから学習へ~ 人間関係 2・3
・中村 和彦 2006 Tグループを用いたラボラトリー・トレーニングの構造に関する比較研究 人間関係研究 2006年第5号