キャリア・アンカーとは

キャリア・アンカーとは、自己イメージで自己概念の一要素で、次の問いに対するある程度明確な答えがその中身です。これは、どんな難しい選択を迫られたときでも放棄することはない自己概念です。(※アンカーとは、船の錨になぞらえています)
 1.自分の才能、技能、有能な分野は何か。自分の強み、弱みは何か
 2.自分の主な動機、欲求、動員、人生の目標はなにか。
 3.自分の価値観、つまり自分がやっていることを判断する主な基準は何か。
 この自己概念は、ひとが青年時代の経験や教育によって得られた自己洞察をもとにできあがっていますが、現実の仕事について十分な経験を重ねていき能力、動機、価値観をよく理解して、明確な熟成した自己概念になります。おそらく10年、ないしはそれ以上の現実の仕事経験が必要となると思われます。
キャリア・アンカーの8つの種類
 ①専門・職能別
  特定の仕事に対する才能と高い意欲を持ち、自分の才能を発揮し、専門家であることを自覚して満足感を覚えるタイプ
 ②全般管理
  経営者になることが価値あることだと考え、経営管理そのものに興味があり、責任ある地位につきたいという強い願望を抱いているタイプ
 ③自律・独立
  どんな仕事に従事しているときでも自分のやり方、自分のペース、自分の納得するようにしていくタイプ
 ④保障・安定
  安全で確実と感じられ、将来の出来事を予測することができ、しかもうまくいっていると知りつつゆったりとした気持ちで仕事をやりたい考えるタイプ
 ⑤起業家的創造性
  新しい製品や新しいサービスを開発したり、財務上の工夫で新しい組織をつくったり、あるいはいまある事業を買収して事業再編して新しい事業を起こす欲求を人生のかなり早い時期から他の何よりも意識しているタイプ
 ⑥奉仕・社会貢献
  なんらかの形で世の中をもっとよくしたいという欲求に基づいてキャリアを選んでいるタイプ。自分の実際の才能や有能な分野よりも、価値観によって方向づけられている。
 ⑦純粋な挑戦
  不可能と思えるような障害を克服すること、解決不能と思われてきた問題を解決すること、極めて手強い相手に勝つことを追求してやまないタイプ。
 ⑧生活様式
  生活様式(生き方全般のバランスと調和)をめぐって自分の存在を形づくっていこうとしているタイプ。この事たちは何よりも柔軟であることを望んでいる。自律にアンカーをおく人たちも柔軟であることを望んでいるが、違いは、組織のために働くことに非常に前向き。ただし、その際には条件を組織に求める。

※参考文献 「キャリア・アンカー—自分の本当の価値を発見しよう」
エドガー H.シャイン 著/金井壽宏 訳(2003 白桃書房)